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「健康太極拳“規範教程”のまとめ」

『健康太極拳規範教程』

第1章 太極拳基礎資料
●腰と脚について:
“体幹部の回転は、主に第11~12胸椎(第一腰椎)で行われる(太極拳ではウエストを
 ねじることが腰をまわすことである)

●手型(3種類)
1.掌~丸みを持たせ、5指を緩め伸ばす、手の平と甲はこわばらさず緩める
2.釣~手首,指先まで緩みが重要
3.拳~握りこみの拳ではなく,空間を空け常に開くことを意識した拳である

*手は弛緩している:自然の緩みで出来あがる(指間は指一本分あける)

●歩型
①開立歩~自然立(両足は肩幅で開き、自然に直立か、半かがみになる)
②弓歩~前足のつま先を正面に向け膝を曲げる。,前足に7、後ろ足に3の重心をかける。
後ろ足は斜め前方に向ける。足の裏全体で柔らかく、体重を支える意識が必要である。
前後の足の間隔は3足~3足半あける。後ろ足は自然に伸ばす。
③虚歩~足を前後に開き、後ろ足のつま先を約45度斜め方向に向け、膝を曲げ体重を支える
重心配分:前4・後6~前0・後10まで情況により変化
④馬歩~両足を横に開き、両足は正面をむけ、両膝を曲げ、膝はつま先の上におき、足先より前に出ない。重心は両足均等。両足の横幅は3足~3足半(二段錦)
⑤半馬歩~両足をひらいて立ち、膝,股,腰をゆるめる。片足を45度外に開き、上体はその方向に向く。重心は後ろ足側に寄る。
⑥朴歩~片方の足を斜め前方に向け、膝を折ってしゃがみこみ、他方の足を横方向に伸ばし出してつま先を内側に向ける。伸ばした足のつま先と、曲げたあしの踵が進行方向に向かって一直線上にある。いたずらに姿勢を低くすることは慎むべきである
⑦独立歩~片足で膝をやや緩めて立つ。他方の足は膝を曲げて引き上げ、足先は緩めて膝下にぶら下げるように下ろす。軸足先はやや斜め外側に開いた方が安定する
⑧丁歩~一方の膝を曲げ、もう一方の足を軸足の内側又はその前後側方によせ、つま先を地面につける。両足の間隔は10~20センチを基準にする
⑨並歩~両足内側をそろえて立つ。膝は突っ張らず、ゆるめて自然に伸ばす。


●手法:両手,腕の動き
 1.抱手(ボール型をつくる):上の手は顎前、下の手は腹前、肩、肘は沈めて(肘は上げない)。  
腕は弧形となる
 2.分掌:両腕を体前(胸の前)で交差させ、前後又は左右に分ける、伸ばしきらない (⑬⑮)
3.推掌:両手もしくは片手で押す動さ、手の平はやや内側に向け、正面に正対しない。
   肩、肘を沈め、肘は伸ばしきらない。指先は目の高さ、手首はほぼ肩の高さ(⑦⑧⑨)
 4.楼掌:膝,腰前を弧を描き、横を払うように移動(④)
 5.穿掌:片手を、もう片方の腕に沿って指先から差し出す、身体の他の部分に沿って差し出す(⑫)
 6.挑掌:下又は前から,手首を曲げ、指先を跳ね上げる。(⑯⑰)
 7.架掌:手の平を斜め上に向け,下から支えるように頭の斜め前横に上げる(⑱⑳)
      腕は孤形を保ち、肩を沈め、肘を下げる。
 8.挿掌:手の平を上から下前に差し込むように出す。(⑲)
 9.抹掌:掌を体の片方からもう一方の側へ弧を描いて払う、力は軽くやわらかに(21)
10.欄掌:掌を外側から内側に押えこみ、攻撃を阻む動さ(21)
11.貫掌:腕を緩め拳を作り、下側から斜め上前方に外側に弧を描いて出す(⑭)
      手首を折らないように注意する
12.搬掌:肘を曲げ、拳を体前で拳背を上に向ける。前腕を回して、拳を弧を書いて上から
      前もしくは外へ押えるように出す。拳心は上あるいは内側を向く(21)
13.衝掌:拳を腰の横,拳心を上に向けた状態から、内旋させながら前に出す(21)

●歩法
1.上歩(含進歩):後ろから足を引き寄せた後、一歩前に進める。
2.進歩:前側にある足をもう一歩前に出す。
3.眼歩(③⑤):後ろ足を前足の踵付近に着地(前足を越えないで)
4.退歩(⑥):つま先から着地
5.測行歩(⑩):つま先から着地、重心の移動に伴い足の裏前面着地

●身法
・体幹部における攻防動さ変化の方法を言う
・腰を調和点とした上下連携運動(連携運動)で行われる。身法は手法と歩法のとりまとめ役
《*手~腰~足(歩)》

●腿法(24式では明確な使用無し)
・下肢基部を主とする脚の用法:脚力の負担をなるべく少なくする方向で運用すべきである 


●眼法
・眼法は視線と動さの配合の方法を言う
・眼法の運用が動作の一招一式と調和すれば、内在的な精神意識が動さ表現に送り出され
動作の活き活きとした流れとなり,それが精神意識の活性を促す

●八門五法
(1)八門(手法を表す)
①棚~⑱防御の左右の腕の動き
②履~④?
③斎~⑦⑧
④按
⑤採~②④
⑥列~②
⑦肘~⑨⑪
⑧葦~②
(2)五法(歩法を表す)
①進歩(前進)~必ず身法や手法と連携して行われなくてはならない
②退歩(後退)~退歩は沈勢(緩め沈め)と転体が要求される
③左雇~左へ歩を移す
④右ベン~右へ歩を移す
⑤中定~重心の中正安定(定まった方向が無く、身体の向きにより前後左右が決まる)

●起、餐,翻.落
①起~立ち上がり
②餐~手腕部の外旋
③翻~翻る(ひるがえる)こと
④落~落下動さ(↓動さ:実から虚への転換過程)
*「雲手」では、①~④が連続して行われる
*①~④は手の動きの手法であるが、身法、歩法によって導かれる
*重心の移動は「偏、沈」によって行われ、体幹の転体、手腕部の旋転もそれに連携する
*どの動さ要素も「陰陽相済」を機軸に行われる



第2章太極拳運動の特徴

1.「身体各部の可動範囲」
太極拳運動は常に気血の流れを重視する。気血の流れを阻害する原因の殆どは、
関節の屈曲過多と骨格筋の無駄な緊張である。これを防ぐために、動作中の身体の各部の運用には各関節の可動範囲の基準がある

①頭部と上体:肩に対して頚部の回転は45度を超えない
②肩関節の外旋は60度を超えない
③肘は肩より外に留まる
④肘関節の屈曲は90度を下回り曲げない
⑤実の手の指先は反対側体側を、手首は正中を、肘は同側肩関節を超えて内向しない
⑥片手で推す動作の時、指先は目の高さ、手首は肩の高さ(9番・11番)
⑦骨盤に対して肩の水平回線は左右40度
⑧下肢に対して骨盤の内旋は30度、外旋は60度
⑨弓歩姿勢で,膝はつま先より前に出ない
虚歩姿勢で、後ろ足の膝は、つま先の方向と一致する

2.「角度の理解と力学的関係」
・両上肢の展開角は最大135度となる(6番)
 ・下肢は、関節の生理的なねじれに依存する
・脚全体では直立時片脚で25度+5度で、約30度外に向いている(脚で60度程外を向いている)

3.「ストレッチングの意味と価値」
  ・柔軟性が高まる
  ・血行が良くなる
  ・関節の可動範囲が広がる→柔軟
  ・筋肉の緊張をとる
  ・筋肉が緊張するので、痛い所まで伸ばさないようにする
  ・呼吸を止めない

  ・ストレッチの目標は個人差があって当然
  ・可動範囲の現状維持を目標にする
  ・何事も適度が良い
  ・ゆっくりとした動作によって関節の可動範囲内で動さ内容の充実と感覚力を養う
  ・意識呼吸を伴いストレッチング要素を含んだ運動である八段錦と挙勢呼吸
   (無自覚自然呼吸)を伴い感覚力を養う運動の太極拳とのとり合せの妙がある

4.「不用力の原則」
  ・太極拳は武術と違い、緊張を嫌い、速度もゆったり流れるように途切れることなく
  行われる。筋力に頼らない武術である《「ゆるみ」が大切》 
  ・「ゆるめる」:「弛緩」(ぴんと張っていた弓の弦がゆるむこと)、
   「緩」は勢いが緩やかなこと
  ・弓は骨格であり、弦は骨格筋に相当する。
   骨格筋は関節を挟んで骨と骨を結んでいる。
   骨格筋―関節
   骨格筋の緊張により、テコの作用によって関節に屈曲・伸展・固定の3種類の
   作用をあたえる。
   “ゆるみ”とは、筋緊張を取り去ることを表し、それは関節から筋力を開放すること
   を意味する。 筋と靭帯は互いに機能を補完しあう関係(特に股関節の靭帯は
   その緩みを得るにあたっては無視できない)
   ・防御の局面:重要なのは、股関節と腰の水平回転である。この回転を他動的に
    行うことこそ太極拳の円運動が目指すもの。
   ・攻撃の局面:攻撃と言えども強い力を使わないのが太極拳における攻撃の特徴
   ・抗重力筋のゆるみ:沈勢~重心を落下させることにより関節の緩みを得る。
    すべての抗重力筋が緩むわけではなく、重心位置や姿勢のコントロールは必要な
    筋が常に適切な活動をして動作の補助をすることにより成立する。
   ・拮抗筋:一つの筋には必ず拮抗する筋があり、筋出力はその二つの筋力の
    配合できまる。
    拮抗筋と筋出力の関係:
    効率的な筋力使用を考えれば,拮抗筋の作用をコントロールする《拮抗筋を緩める》
   ことがいかに重要であるか理解できる~これが「陰陽相済」「以胃勝強」を実現する大  
   きな要因になる。
   ・太極拳では、身体の様々な部分がゆるみにより柔らかく繋がり滞ることが無い。
    このような動作が、気血の流れを促進し,呼吸を整える。そのベースは心に有り。
    心は正しい身体の運用技を形成する要であり、この二つの融合が太極拳をより
    安全で健康的な運動へと誘う。

    *上下相随:運動時に上肢、下肢、体幹の各部が全て協調配合して,動作を一つに
          まとめ整えて完成させることをいう。「協調完整」ともいう。
          身・手・足、三者の高度な統一のことであり、「ケイ」(強さ)を
          整えることである。その結果、力に頼らない技が実現され剛柔相済となる。


5.「歩行」

・「太極拳」は車輪を目指す:車輪が転がるような移動を実現させる方法論である
(一本脚縦軸横回転車輪での動きを目指している)

●脚の構造と機能:
馬の下肢構造(関節2)は走ることに適している.人の下肢構造(関節1)は直立することに適している

・直立に有利な構造
骨盤・股関節・大腿骨のアーチ型構造:股関節は球関節で、安定と運動を満たすのに最適の構造である。股関節に接する大腿骨頭は球構造である。股関節は①腸骨大腿靭帯②恥骨大腿靭帯③坐骨大腿靭帯によって補強されている(この3つの靭帯は最も強靭な靭帯である)。
股関節においては、直立時には強力な靭帯が緊張して関節を補強し、中腰姿勢では靭帯の緊張が解けることになる

「股関節をゆるめる」ためには、先ず靭帯の緊張を解くために適切な股関節屈曲角を与え(中腰になり)、重心位置を体重を支える膝関節伸筋と上体起立筋群および股関節屈筋群の筋力最適バランス位置におくことで、靭帯と筋力との適切な配合を得る必要がある

・太極拳はあえて膝を曲げる
股関節の緩みを得るため膝を曲げる。「起動トルク」の確保に適している。太極拳の動作は常に滑るような滑らかさが特徴。円動作の滑らかさを表現するのは「加速度」に他ならない。急激な加減速は,滑らかさを阻害する。

“人の下肢構造は、中腰の姿勢を採用することにより,股関節は周囲の強力な靭帯の緩みを、膝関節は構造上の緩みをえることができるのであり、それは太極拳運動の特徴である(滑らかな移動を可能にする要件)”

・曲げた膝がショックを吸収する
膝関節の機能としてショックの吸収性能をあげる。
少しでも膝を曲げれば膝は効果的にショックを吸収する。膝の構造:直立した場合、面接触になり、屈曲すれば、膝蓋骨を使って2点接触に切り替わり効果的なてこの使用~膝伸筋のバネを効率よく利用することが出来る膝関節の構造。

・膝関節の自動回旋:
膝関節には、無自覚のうちに行われる自動回旋機能がある。


・足関節:
主な足関節の運動:①背屈(つま先が上がる)②底屈(つま先が下がる)
         この場合の運動は垂直に対して約15度外側に傾斜した面で行われる

人の下肢は直立時の応力負担が最少となる構造が特徴。膝が屈曲した時には、必ずしも体重を支えるのに適当な姿勢とは言えない構造になる。
太極拳思想(陰陽相済・以弱勝強):固着を嫌い漂うように動作するために膝を屈曲させたままの姿勢をゆっくりと比較的長い時間使う。 

●歩くことを理解する:
・歩行(随意運動・緻密な動作):重心位置は上下左右に反復運動を繰り返す

・歩行の分析:
歩行の周期:片方の踵が設置し,次にもう一方の踵が設置するまでの動作を一歩と呼び,この間の距離が歩幅である

6.「太極拳の移動法」である
・立つ(移動する前段階:予備姿勢)
 起立姿勢の際重心は足関節より前にある
 「踏実」:足の裏全体で、吸いつくように均等に踏む(少し重心を踵にかけるようにする)

・起動(動作の開始):
前に出した足の下降、踵接地、重心移動がおこるまでの沈みこみ動作は、軸足の緩みによって行われ、重心は軸足に保持される。従って、自然歩行でみられる踵接地時の踵打ちつけは起こらない。

・両脚間の重心移動:
太極拳の重心移動は、あたかも振り子が動くように行われなくてはならない。起動力の根本は重力にあり,脚力ではない。自然歩行は、脚の伸び上がりと重心の倒れ込みによって歩行が行われる。太極拳運動は、日常動作と根本的に違うプロセスで出来あがっている。
太極拳は、意識により動作の比率が格段に高いのでコントロール法を身につける必要有り。

太極拳の発力は,沈静による重力と体重移動による衝力が基本である.筋力に依存しないのが特徴である.重心が前に倒れこまず、平衡を保つ。これは太極拳の攻撃力の基本が重力と衝力である。従って、太極拳は接近戦である。(身の回り)

太極拳の発力は沈ケイ(沈む力)と衝力が基本であり、無駄な筋力は使わないようにする。
重心移動中に後ろ足の積極的伸展により推進力を発生すると,
推進力に抗して前脚が制動力を発生させることにある。「弓歩」は膝伸筋の効率的な強化を目指す意味もある。
太極拳運動では前進動作での後ろ足,後退動作での前足の積極的伸展は、重心移動の全工程に亘って起こることは無い。抗重力運動や双重に該当するような無駄な筋力の使用は慎むようにする。動作は全てにおいて連係、連鎖的に行わなければならず、主導側の起動に対し、補助側はその動作の隙を埋め補佐しなければならない。この度合いの多少は骨盤の平行回転に現れる。《体重移動に合わせて骨盤は進行方向に向いていく》《後ろ足で押しすぎると骨盤が回りすぎ,正面を向いてしまうので良くない》

・重心移動における感覚把握と動作観察:
(なぜ間隔把握が必要か?)
姿勢が変われば筋活動や重心位置は自ずと相応に変化する。
姿勢の変化を如実に反映するのが脚の裏の面圧分布である。
筋活動はテコの力を発生して物理的な変化を生み出す。重心を支える力の変化として足裏に到達する。姿勢の良否は必ず足裏との接点に現れる。
足裏の圧力情報は姿勢保持には大変重要な役割を果たしている。
太極拳は足裏の知覚情報を即座に動作に反映することが可能な運動である。
このリアルタイム制御こそ太極拳運動のスピードを決定付ける重要な観点であり,太極拳の動作速度はこの能力により決定されるべきものである。

・重心移動の考え方と具体的方法:
(重心移動の許容範囲):弓歩姿勢の時に両足のつま先と踵を結んだ四角形の範囲内に重心があればバランスを崩すことはない。
本来の重心位置:骨盤上方・腰椎の数センチ上方にある。

*脚を前後に開いた時は、骨盤は正面を向かない(必ず前足側の股関節が後ろ足側の股関節より前になければ不自然な姿勢である)
*太極拳運動(技法)では、自然に思われる反応に頼らず、意識で身体をコントロールする

・歩を進める
①踏み出した歩の位置で完成する場合
②準備段階としての歩(次ぎの一歩で完成する場合)
*歩を出す時はどちらも重心の移動は起きない、次に起こる重心の移動もゆるみによって行われる(右足を一歩出そうとする時、骨盤は左に回転することにより右股関節を前に出し、右足が前に進む補助をすることで、無理無く歩を進められる)*野馬分髪の2歩目の動作、動作に身体の回転は必要無く股間節の外旋で対応できる

*脚には出しやすい方向が有る:脚を正面に向けて一歩出す時、一番効率のよい骨盤の姿勢は、 
 正面から30度~45度斜めを向いた時
*太極拳は変化を旨とする運動:状況に応じた変化を自由に取り入れて動く
 (型の習得を容易にするために角度を規定することとは本質的に性格が異なる)

・はい歩(足のつま先を外側に向ける):進路の変更
・こう歩(足のつま先を内側に向ける):進路の変更
・転身

*はい歩、こう歩の動作は、基本的に踵を中心に行われる
*「弓歩」では、つま先の踏み込み(つま先への荷重移動はない)。
弓歩の前足において重心は踵よりにあり、つま先に移動することはない。(つま先が虚・踵が実)
*2,4番の型で重心を後ろに移動させる時、重心の移動により自然につま先がしっぱり上げる程度で充分(つま先を開く角度は45度を目安とする)
*つま先を開く動作に身体の回転は必要ない
*独立歩になる時も、安定を得るために、つま先を外に向ける、この場合も踵を、内に
(骨盤に被らないようにする)入れず、つま先を外に向けたい。
*虚の足の動作が実の脚に影響を与えないようにすること。間違えの原因は下肢の緩みの不足であり「沈勢」が行われていないことである。転身動作にも座身が必要。

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「踏実」
・太極拳は、引力によって体重という質量を「衝力」に変換することで攻撃を行う
 「衝力」を利用することは、体重の質力移動を相手に伝える。脚の役割で一番重要な部分は、
  移動経路の確保である。*体を支えたり,前に向かって身体を押し出したりすることではな
 い。*前進は両足で行う*後ろ足の伸展を筋力に頼らないこと
*骨盤部で前足の筋力がぶつかり合う「双重」の状態が回避され下肢の「不用力」が実現される。*「下肢の不用力」:①滑るように移動②吸いつくように立つ


7.「手法・身法」 

・手法‐身法‐歩法(三位一体で切り離せない)
・構造体(骨格)x 節合部(関節)x 張り(筋):姿勢における力学的基本構造(複数の三角形が形成するトラスト構造で成り立っている)。
 この基本構造が、より少ない筋力支持による効率の良い姿勢,動作を作り出す鍵となり、この 
 姿勢動作が無駄な筋力を使用しないゆるみをともなった気血の流れの良い健康運動の基礎となる。
従って、ストローク動作は複数の基本構造三角形による相互連係動作が基本である。
 これが『一動全動』の基本理念である


・架空の力点
・相手が近くにいる,接近戦を想定して、姿勢や動作が出来あがっている。
・多くの場合、力点は手腕部に存在する

・力点の考え方:
①てん糸けい(力点は2点以上存在)
②自己の動作により相手の重心を移動,動揺させることを目的としている.
③太極拳では力任せに相手を倒すことは有りません
④テコの原理を動作に応用する(より小さな力で大き力を翻弄する)
⑤テコの原理(支点・力点・作用点の3点の作用に有る)
⑥作用点にあたるのが、相手の重心であり、重心を移動させるのに使用する支点,力点にあたるのが、動作中に存在する二つの力点である
⑦動作における力点の2点時間差重複使用を「纏糸剄」という。力点の重複使用は太極拳動作のほぼ全域に渡って現れる。(例)膝を払って推す:払う、推す両方の動さに攻撃要素が含まれます

・アンカーポイント:
 2本の脚が床を踏んで重心移動を支えるように,下に向かう手も架空の固定点(アンカーポ 
 イント)として前進動作を補助する機能を有する

・回転軸・折畳
体幹の回転はこの左右の軸で行われ、中心軸を使用して回転することは殆どない。
順勢弓歩及び順勢虚歩では、軸脚側の軸上で股関節部と肩部が連係して回転が行われる。
すなわち重心の移動に伴い軸足が入れ替わる。すると回転軸も変換することになる。

手法と歩法のとりまとめをするのが要としての腰の役目である。
特に、手法と歩法が転換する拗勢では体幹部のねじれが決定的要素となる。
このねじれは弾力の有る開合作用であり剄の運用を補助し、気血の流れを促進する。
このような弾力を有するねじれ作用を「折畳」という。
脊柱は、たわみ、ねじれに対応する。
回転の中枢は腰隙にあることを動作に反映すれば下肢の無駄な力が抜けて緩みが得られ、不用力が実現できる。それによって剄や気血の流れが保障され、安全で健康的な運動を行うことが可能になる。

*円當(歩型において股間部を丸くひらいてアーチ型に保つことをいう)
股間部が狭まることを侠當という。太極拳の歩型は円當が基本です。
つま先と膝の方向が一致し、下肢の筋に無駄な緊張がない状態が、円當が実現された姿である。


8.「眼法」(太極拳の動作は「眼」が導き行われる)
   動作の中枢は腰間にあるが、「腰が緩んで動作をもよおし、実際の動さは眼が導き出す」  
  「眼法」は手法、身法、歩法と密接に関連して行われる。単なる視線移動だけでなく眼法にも虚実の配合が    有る。

①.注視と随視:
   ・注視~眼神が一定の目標・方向に向かって貫かれること(見つめるように)
   ・随視~動作中眼神が体の一部分の動さに付随して動くこと。現象的には眺視であり、 
       主に虚の表現(追随法は、一定ではなく、動作が眼神をリードする場合も、
       眼神が動作をリードする場合も有る)

 ②.視野と眼法の関係:
  人は全情報量のうち70%以上、時には90%以上視覚から得ている。
   ・一点に集中してものを見つめ視野が狭くなっている状態を固視という。
   ・広範囲にわたって注意が必要な場合は、眺視という(眺めるように)
   ・基本的に攻撃動作では視線は手に先行進行方向を向き、防御動作では動作初期には、
    視線は手に先行し、横90度あたりに留まり,手は視線を追い越して斜め後方に移  
    動することになる。随視には陰陽虚実が存在し、それが眼法、身法、手法の角度の
    ズレとなって現れる。
   *人の眼の平均視野:片目では、左右方向に鼻側60度、耳側100度、上下方向に
    上60度、下70度の楕円形を作る。
    距離感の確保には両眼視が絶対条件で、両眼視出来る範囲内に手がとどまっている。
    この角度が、随視可能範囲の限界であり、この限界を超えて手が動くことは
手眼相随から逸脱する。

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□「虚領頂剄」□

  頭部を緩め伸ばし、頭頂が上に向かう、または上から吊り下げられたような
  意識を持つこと。(*操り人形のように)

  ケイ部(首部)は、ケイ椎より前部に位置する頭部重心を維持するため、後ろ側に
  強力な筋群を配置、ケイ椎上に載った頭部を後からしっぱり支えている。
  「虚領頂ケイ」は眼法(視線移動)を平目平視の要求を満たす条件を整える。

  頭部(4キロ)を支える筋、胸鎖乳突筋(二本:左右各一本)は耳の後と鎖骨を結ぶ。
  僧帽筋も頭部の回転に関与する強力な筋であるが、胸鎖乳突筋の反作用に関しては拮抗筋として作用すること  も有る。頭部の重心が正しい位置にあれば、眼法によって,自然に身法を導き出すことができる。
     *平目平視が基本、眼法の運用は身法に影響を及ぼす。
     *「虚領頂ケイ」は胸鎖乳突筋を伸ばし僧帽筋を緩め,縮める。

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9.「起勢の力学」(太極拳は起勢が全て)
   ・無極から始まる:無極式(自然立ち):重心は中定にあり、両足は均等に開き、荷重は
    左右どちらにも偏ることがない

   ・筋と筋肉と関節:筋肉は引っ張ることしかできない.筋力は、常に引く方向に作用し、
    筋が自ら押す力を出す能力は持っていない。

   ・骨・筋肉・関節の関係:筋肉が関節に及ぼす影響は3つ有る(①屈曲②伸展③固定)。
    関節を動かす動力源は筋肉である(関節は動力源無し)。筋肉の働きには①動的な筋収
    縮による働き②静的な収縮筋による働きがある。動的な収縮筋には①短縮性収縮と
②伸張性収縮の2種類がある。筋が運動を伴わず静的に収縮する場合を等尺性収縮という    

   ・無極の意味:自然立ちの姿勢
    重心は脚関節の直上に有る。無極とは、より少ない筋力で姿勢を保持して、
    微細な力が加わっただけで動き出すことが出来る状態。
    この重心位置の原則は、太極拳のどの動作にも適用され、踵荷重が原則である。

   ・手を上げる動作
    太極拳は反射運動を最小限に留めるように、瞬間の動作を確かめながらゆっくりと行
    われなければならない。この点で大切なのは、自分自身の無自覚反射運動までも
観察する感覚力』(自己観察能力)である。 *精神(こころ)→意識→感覚力
    *「健康法=武術」という統合性をもつことが太極拳の真の姿である。

   ・中腰姿勢
    中腰姿勢では、膝はつま先の直上に位置し、それより前方に出ない。これによって、
    重心位置は、脚関節直上に保たれる。
    姿勢の良否の確認方法:中腰の姿勢で、骨盤から肩甲骨までを壁面に接するようにする。
    この姿勢でウエスト後方のくびれが全面的に壁に密着していれば、骨盤と腰椎、
胸椎の関係は正しい位置に有る。(首が前に出ないように注意する。)

   ・膝とつま先の方向
    中腰に移る過程:股関節~膝関節~脚関節(徐々に屈曲して行く)。
    膝の方向とつま先の方向にズレが出ないようにする。(下肢における「上下相随」)
    太極拳は中腰姿勢で動作を進めることから,膝は屈曲したまま体重を支える。
    2・4番型の場合も、膝方向とつま先方向が揃う方向、つまり適時無理のない
方向に揃えば良い。(「左右斜めに向かわず、進行方向に揃える」が理解しやすく、確認が容易)

   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
□「神・意・気・ケイ」□

・「神」
      ・「意」~意念・意識・頭脳レベルの思考活動
      ・「気」~人体エネルギーの情報伝達
      ・「ケイ」~技法と相互に融合した筋肉の力量をいう、総合的な力の運用法
          (具体的な運用部分は「意」に依存)

10.「三節論」 
 ・独特の運動理論(具体的な攻防の理論)(*不用力を原則を決定づける重要な理論)
   ・三つの節とは:
    ①梢節~身体の末端部を指す(主に手):腕 
    ②中節~身体の中間部を指す(主に胴):体幹
    ③根節~身体の基盤部分を指す(主に脚)

    【例】上肢においての3つの節:
    ①手の部分が梢節
    ② 肱の部分が中節
    ③ 肩の部分が根節

   ・三節論における動作基準(①攻撃動作:前進動作~梢節→中節→根節
    防御動作:後退動作~根節→中節→梢節)

   ・三節論では、攻撃(前進)は、梢節から動作を始めのが原則。防御は根節から動き出
    すよう規定している。

   ・三節論は「けい道」を確保する                               
    無駄のない筋活動と、力学的に無理のない姿勢を学習~気血の流れを重視、
    心の平穏を求める(大変重要なポイント)。
    三節論は不用力の原則を実現させる唯一の方法である。(*三節論は太極拳の要)

   ・発するのは根節から
    発力はあくまで根節(脚・腿)から中節を経て梢節(力点)へと力の伝達が行われる。

    もう一つ重要なことは、太極拳の発力が筋力に頼らない。太極拳の打撃力の大部分は
    「重力」と「衝力」によるものであり、決して前方へ展開する筋力ではない。
    打撃に関しても床と足の裏との摩擦力も使用しない。(脚はふんばらない)
    撞木のように滑るように打つ。自己の体重を余すことなく移動させ,その移動を効
    率よく伝えることで「衝力」での発力が可能となる。この結果、より重心バランスが
    良く柔軟に姿勢変化に対応でき、気血の流れを阻害しない健康法に繋がる。

   ・三節論と内ケイ
    攻撃、防御側、どちらであっても「走」(化)から「粘」(発)への転換点である。
    この局面では、全ての面で内ケイは腰間の緩みで起動する。(動作は腰が主宰する)
    攻撃・防御を問わず、内ケイが腰間のゆるみに端を発するのは間違いない。
    腰間のゆるみは沈みこみにより起こるものであり、防御であれば後退、攻撃であれば
    前進のケイは腰間のゆるみと同時に起動するものである。つまり腰間のゆるみと同時に
    攻撃であれば梢節が、防御であれば根節が動作を開始しなければ有効なケイ道の確保ができない。
    腰間のゆるみは「走」(防御)であり、同時に起こる前進のケイは
    「粘」(攻撃)である。

11.「円運動」
    円の動作を支えているもの①身体各部が形作る円②運動軌跡が描く円関節を伸ばしきる
    ことなく,曲げすぎることもなく、適度な孤形を保つ

   ・何故円運動なのか?
    単純性~人体の関節構造によって決定づけられている。関節は基本的に軸回転運動に
    よって動作しており、その動作自体が回転運動だからである。(単純な円運動は一つの関
    節の動きで成り立つ)。直線運動は、2ヶ所以上の関節が動く。

   ・円運動の種類
    ① 真円運動
    ② 求心性円運動(例:「雲手」左の端~真中)
    ③ 遠心性円運動 (例:「雲手」真中~右の端)

   *「雲手」の動作は、外側に張り出した円を描く、2番・4番は内側に引っ込んだ円

   ・歩法の円と直線
    2番の脚の動作:股関節の外旋が膝関節が組み合わさって行われるものであり、動作の
    主体は、つま先でも,踵でもない。
    動作は股関節や膝関節によって行われ、その結果先端部分の動きになって現れる
    ようにすれば無駄な筋活動が抑制され、力みの内動作となる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 □定式を理解する□

 ・太極拳の個々の型が出来上がった状態を定式と言う。
 ・太極拳の技撃は、沈タイケイを利用して、撞木が釣鐘を打ち鳴らすごとく行われる。
 ・相手への到達地点は、前身行程の中央近くに存在する。

12.「呼吸」

  ・呼吸は「意識と無意識」・「①運動神経と②自律神経」交点にある。
   ①大脳皮質により支配~運動神経(骨格筋の動作により関与):意識制御可能
   ②脳幹により支配~自律神経(臓器の動作に関与)*意識制御不可能

    自律神経(①交換神経:興奮系②副交感神経:抑制系)
    呼吸法により①と②のバランスを調整する

    呼吸は運動神経系・自律神経系の両者からの支配を受けている。
    太極拳の呼吸法で一番活用したいのは意識呼吸と無意識呼吸の中間、
    いわゆる『曖昧領域』である。

  ・目指すのは拳勢呼吸:太極拳の動作にしたがった呼吸(逆腹式呼吸を基礎とした無自覚
   呼吸に限りなく近い自然呼吸であり,動作と渾然一体となり常によどみなく行われる)

   運動を遂行するための『総司令部』は,大脳皮質の運動野にある。体幹部の運動野は小さ
   な範囲でしかない。この大脳皮質体幹部の運動野に組み込まれている随意・不随意運動の
   プログラムで、日常的に行われている運動動作が呼吸運動である。

   拳勢呼吸とは太極拳を習得するためには必須な呼吸と言うことができる。
   目指すのは無自覚自然呼吸である。

  ・一般的な呼吸法
   ①胸式呼吸(胸郭のふくらみによっておこなう)
   ②腹式呼吸(横隔膜の上下運動によって行う)


   ・無意識呼吸では、胸式呼吸と腹式呼吸は分けられることなく一体となって行われる

   ・太極拳は動作により呼吸を導き、肉体と神経系を追従させる
   ・気功的呼吸法:意識で呼吸をコントロール,姿勢の変化は補助的な役割。
   【呼吸を意識制御で先行させ,自律神経系統を追従させることを目的としている】 

  ・太極拳の呼吸
   動作の開合・虚実に合わせて呼吸が行われる。(歩型の変化、体幹部の姿勢の変化、
   手法の開合に呼吸が合うことを目指す。動作により呼吸を引き出す)
   *意識運動と無意識運動の狭間にある「曖昧領域」部分の拡大を目指す。
    呼気・吸気の状態を含め「曖昧領域での動作」を常とする太極拳運動の原則が有る
    ことで、より効果的に実現することである。

   あるべきは型(勢)であり、呼吸は型に従い自然に起こるのが理想である。
   太極拳の動作そのものが呼吸運動になるはずであり、動作に合わせて意識しなくても
   呼吸が行われるようになる。「深く長い無自覚自然呼吸」を実現することが大切。
   そのためには、第一に、正しい姿勢・身法・歩法を身につけることを目指し、
   姿勢の変化により呼吸が自然に無理なく起こるような態勢を先に実現することを
   念頭に置かなければならない。

   呼吸を意識するほど筋が収縮する緊張状態になりやすい.途切れることの内滑らかな
   動きこそが「曖昧領域」の呼吸を可能にする。

  ・太極拳運動と呼吸のリンク
   主に呼吸に関与する動作部位は歩方と身法である。
   姿勢の変化に伴い行われる自然呼吸を「挙勢呼吸」と言い、形態的には逆腹式呼吸に
   近い形である。挙勢呼吸では、姿勢変化により無意識のうちに“逆腹式呼吸”が行わ
   れるようになる。(*太極拳の開合理論は逆腹式呼吸のみで可能である)
   *太極拳の場合:攻撃=「開く」で吐く、防御=「合う」で吸う
           (横隔膜の上下運動「開合」が呼吸と合致する)
   *気功の場合:「開く」動作で吸う、「合う」動作で吐く 

   (動作と呼吸の関係まとめ)
   ・前進時~呼吸は「吐く」、用法は「開」「攻撃」「剛」
   ・後退時~呼吸は「吸う」、用法は「合」「防御」「柔」

   *教室では呼吸にとらわれないように指導することを優先する。正しい姿勢から
    生ずる動作と呼吸の自然な統合を目指す方が健康的である。

第4章:

 1.間違いに陥りやすいポイント:
   ①起勢での間違い(・膝がつま先より先に出る。・脊椎の湾曲が保てない)
   ②弓歩は、つま先,膝、大腿部が進行方向に揃うようにする。
    *重心位置は前足の斜め後方でなくてはならない)
   ③虚歩姿勢での間違い:つま先・脛骨(「すね」の内側の骨)・大腿骨の方向にズレがある場合、
    膝関節に過大な負担が掛かるので注意。
    つま先・脚関節・膝関節・股間節に付加が掛かった状態でねじれが起こらない位置関係を構築
    しなければならない。膝関節は人体最大の関節である。状態、股関節の負担はそのまま膝関節の
    負担になる。
   ④軸足のねじれ
    太極拳運動は、抗功重力筋をいかに解放させるかを常に要求しているかということを忘れては
    ならない。重心の沈みこみ(中腰姿勢)により股関節は解放され,横回転が可能になる。
    それが腰の回転によって増幅されることにより化ケイに必要な他動性の旋回性能が確保される。
    足を前後に開いて立つ場合には、腹部や股関節部は斜め方向を向くのが自然である。
    (*股関節が正面を向いた場合膝に過度の負担が掛かる。)
   ⑤下肢における上下相随
    弓歩姿勢・虚歩姿勢を問わず、膝の真下に床の支持点である「つま先」がない姿勢
    はどこかに無理がきていると考えた方が良い。
   ⑥背式
    上肢・体幹・下肢の位置(前後・左右・上下など)バランスの配合が崩れた状態を
    背式(背勢)という。太極拳では上肢下肢は体幹を中心に,常に前後左右にバランス良く
    配置されなければならない。(例:楼膝拗歩)
    単純に解釈すれば、太極拳の動作は常に『やじろべい』のバランスにより成り立つ。
    軸足を中心にして手足が前後左右同じ側に位置するような状態を避ければ、順当なバランスで
    安定して動作を継続することが出来る。(例:踵蹴り)(例:独立歩)
   ⑦歩方の間違い(例:野馬分髪・楼膝拗歩)

  ~弓歩の完成~次ぎの歩を進める時~
    前足のつま先を踵を基点にして外に開く時、開き過ぎに注意:
    この状態で前足に重心を移した場合、脛骨と大腿骨に角度のズレが生じ、膝に過度の 
    負担がかかる。前足踵と後ろ足踵を結んだ線の延長線上に前足つま先を開く程度が良
    い。(ことさら身体の回転を必要としない)。つま先の開きが適当であれば,重心を前
    に移動した時、重心位置は前足構造線より前方に移り,自然に次の一歩を進めるこ
    とができる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
   □「姿勢の間違い・まとめ」□
 ・最も重要な点:「軸足のねじれ」問題→「膝関節の故障」の原因となる
  (例:虚歩姿勢での膝とつま先のずれである)
 ・中腰姿勢で動作する太極拳の基本要件から足関節の運動面が垂直でないことに起因する。
 ・膝、つま先,骨盤を含めた下肢全体の問題である。
 ・軸足全体の『面』が揃うことが最も重要である。弓歩の時、軸足の面が揃うならば,
  骨盤面が正面に向くようなことは無いはずである。

 3.三つの段階
   ①拳架の学習:型を学ぶ段階~強調完成を理解するまで
   ②身法の学習:調和を学ぶ段階~手法と歩法の調和を得るための身法の役割を確立する段階
   ③内ケイの学習:効率的な力の運用とケイ道の理解を学ぶ段階
   ④正しい姿勢を作り出す段階→高度なレベル『意』の世界

第5章「よりふかめるために」

 1.「歩法訓練 」

  ・正しい歩型を確認する方法
   ●弓歩
   ①肩幅に開いた右足の踵を内側に30~40度内側にいれる
   ②左足を3足程真っ直ぐ前に出す(重心は前足に7、後ろ足に3) 
   ③後ろ足は自然に緩め伸ばす(ふんばったり,蹴り出したりしない)
   *前足のつま先,膝、大腿骨は正確に進行方向に向く
   ・拗勢弓歩の場合:歩型の横幅は肩幅程度とする
 ・順勢弓歩の場合:歩型の横幅は肩幅の半分程になる(例:覧雀尾・単鞭・閃通璧)

  *基本的に床に置いた足は動作中には動かさないように習慣ずける

 ●虚歩(例:手揮琵琶)
  ・足は肩幅に開く
  ・右側の足の踵を内側に30~40度入れる、左足のつま先,踵は自然に前に前方に
  送り出される



・歩き方
 ●前進
  ・つま先は踵と踵を結んだ線上に向けて開く
  ・膝を緩め踵を浮かせ膝を寄せる方向に向け、体幹の回転で寄せる
  ・重心の移動は、足が緩み沈むことで行われる。移動の時、後ろ足で蹴り、重心が持ち上が
   らないようにする 
  ・つま先を進行方向に向け着地する
  ・歩形の横幅は,肩幅程度とする
  ・両足の緩みで重心を前に移動させ,弓歩となる
 ●後退
  ・後ろに歩を移動し,つま先から着地し,軸足を緩めて踵を着地させ,前足つま先を進行方
   向に向ける
  ・前足と後ろ足と平行に近くなるまで回転する場合もある

 2.手法訓練
  ・巻推(倒捲肱の手法)
  ・楼推(楼膝拗歩の手法)
  ・架推(左右穿俊の手法)

 3.用手(スワイショウイ)
  ・視線の移動が動作を導き、重心の移動は沈静によって自然に行われ、膝は緩んでつま先方 
   向へ進み、後ろ足に体重が乗る。
   膝は回転運動を起こさず、つま先方向への前後移動に終始する。
   身体の回転は左右の軸で行われる、中心軸で回転が行われると膝が内側に入り、円當が
   失われやすい。骨盤部を横に振らない。左右の軸の間の重心移動は沈静によって、
   横の移動ではあるが横に推す動作ではなく,沈み込みに寄る移動である。
   視線は下に落さず、真横を見る。ねじれを多くする時は真後ろまで回転する

第6章「高齢化社会に向けて」

  1.積極的な高齢化対策として太極拳を推奨する理由(高齢化社会への指標~膝伸筋性収縮)
    ・ 幼児期の歩行:伸筋主導型歩行~足が突っ張って身体を支えようとする歩行
    ・ 高齢者の歩行: (同上)

    ・ 転倒による骨折事故が多いのはこの「老人性歩行」にある、また加齢による骨量の減少
    ・ 膝伸筋の伸張性収縮を効率よく鍛え、無駄な筋力の使用を控える太極拳は理想的なコント
     ロール機能維持対策として期待できる。(スクワット:短縮性収縮を鍛える)
    ・ 体を鍛えるイメージを持たずに短縮性収縮および伸伸性収縮の双方のバランスを良く鍛える。
    ・ 太極拳がもたらす挙勢呼吸は自律神経の復調を促し、それによってとぎすまされた感覚神経は
     脳の活性化を促す。「弓歩」は膝伸筋の伸張性収縮を鍛える

《"巣鴨菊祭り”にて》
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